POLA TALKER'S TABLE(ポーラ トーカーズ テーブル)
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POLA TALKER’S MUSEUM

開催されたPOLA TALKER’S MUSEUMの内容をご覧いただけます。

POLA TALKER’S MUSEUM REPORT

12/1(fri)

新たな“家族”をクリエイトするワークショップ

Speaker 長谷川 愛さん

生殖テクノロジーをベースにしたアート作品やプロジェクトを展開している長谷川愛さん。まずは彼女の作品を見ながら、その背景にある現実と未来を感じ取ることからスタートです。
「生殖テクノロジーが進化している今、近い将来、ips細胞などを使って同性でも子供がもてるようになるかもしれません。そんな未来を想定して、実在する女性2人の遺伝子情報をお借りし2人の子供を推測する。それが『インプッシブルベイビー』というプロジェクトです。また、体外で精子や卵子を作りそこから子供を作る体外配偶子形成によって、父親や母親が複数存在し、子供をシェアする。すると家族が複雑化することも想像できます。それを表現したのが『シェアードベイビー』。1人の子供の手に対して5人の親が同時に手をつなぐことを意味する作品や、子供にとってのナンバー1の父の座を争う複数の父親などをアート作品として表現しています」。これらの作品から感じるのは、可能性と同時に倫理や常識から逸脱することへの不安感。事実、生殖テクノロジーの実現化には様々な課題も存在しています。一方で、現在の日本で常識になっている一夫一婦制と家族の形態が、実は明治に入って定着した価値観で、それ以前は性に奔放な歴史があったり、世界では婚姻形態や家族のあり方が多様だったりという現実も。今私たちが暮らしているスタイルが「当たり前」とは言い切れないのです。

そこでまずは私たちの中にある「家族」の既成概念を取り払い、複数の父と母が子供をシェアする「シェアードベイビー」を疑似体験。ワークショップの参加人数に合わせて、母1、母2、父1、父2、子供1、子供2、祖父母などの役割を決め、ネームカードを配布し、それぞれ自分の名前、職業、年齢、年収、特徴などを自由に設定します。そしてその人物になりきって、子育てをどうシェアするかの家族会議をロールプレイングしていきます。「私は家に帰れない仕事なので、かわりに子供の夏休みだけはフルで面倒を見る(母1)」「私も地方や海外の仕事があるから毎日は無理。カレンダーツールでスケジュールを共有して調整しよう(母2)」「年収は私が一番多いし家もあるから、みんなが住むのはうちでOK(父1)」「サラリーマンで定時に帰れるからお迎えできる。娘のためならいつでも飛んでいく(父2)」など、皆さんキャラクターになりきって時に笑いを交えながら家族会議は進みます。さらに、問題を解決するためにどんなサービスやツールが新しく必要か?といったソリューションを導きだしていきます。

そんな中、ある参加者の方から「親が多いこの家族、将来の介護はどうなる?」という新しい視点が。ここから話はさらに発展し、昔の日本にあった近所づきあい、地域のお祭り、シェアハウスなどの体験談をそれぞれ出しつつ、子育ても介護も家族単位や、同世代といった従来の横割りではなく、全世代が関わりあってそれぞれの役割を果たす、新しい縦割りの共同体の形を探る方向に。皆さんのアイデアは尽きず、時間オーバーになるほど活発な意見が交換されました。「後半の話だけで、もう1つのワークショップができるほどですね!」と長谷川さん。新しい家族の形があるなら、新しい共同体、新しい地域コミュニティの形があってもいい。生殖テクノロジーという最新科学をきっかけに、皆さんと一緒に考えたこの未来が、いつか「当たり前」になる時代がやってくるのかもしれません。

speaker

長谷川 愛さん

アーティスト、デザイナー。岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(通称 IAMAS)にてメディアアートとアニメーションを勉強した後ロンドンへ。数年間Haque Design+ Researchで公共スペースでのインタラクティブアート等の研究開発に関わる。2012年英国Royal College of Art, Design Interactions にて修士取得。2014年から現在MIT Media Lab,Design Fiction Groupにて研究員。(Im)possible Baby, Case 01: Asako & Moriga が第19回文化庁メディア芸術祭アート部門にて優秀賞受賞。
http://aihasegawa.info/

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