POLA TALKER'S TABLE(ポーラ トーカーズ テーブル)
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POLA TALKER’S MUSEUM

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POLA TALKER’S MUSEUM REPORT

12/17(sun)

「物語」から社会のまなざしをリフレームする

Speaker 小澤 いぶきさん

蔦屋家電で行われる『POLA TALKER'S MUSEUM』。12月24日のクリスマスイブ、今回のスピーカーは精神科医、そして児童精神科医として臨床に携わり、現在はNPO法人PIECES代表を務める小澤いぶきさん。そしてアートとサイエンスを軸に、領域横断型のプロジェクトを進行させるキュレーター、メディア「Bound Baw」編集長の塚田有那さんをモデレーターとして迎えました。

小澤さんは「世の中にはいろんな共同体の物語や正義があるのに、何かひとつの共同体の正義を立てると、またひとつの共同体の正義が奪われているかもしれない。多分どれも良い悪いは無いはずだけど、何とかそれぞれの幸せが両立しないものか?という事が、テーマとして私の中にありました。バランスをうまく保ちながら、それでもそれぞれの正義を奪わないことは何だろうと思って・・・」。塚田さんは「最近の難民問題や戦争の解決しにくいところって、双方にそれぞれ正義や幸せがあって、お互いがそれぞれの正義や幸せを追求してしまう。だから折り合いがつかなくなっていくのだと思う。それがなんでこうなってしまったのだろう?・・・でも、「正しさ」や「なぜ」だけだとしんどくなってしまうのでリフレーム(紡ぎなおし)をする。要するにフレームを作り変える。例えば、小澤さんと私の関係を第三者の視点からはどう見えるだろか?・・・自分のカメラを自分だけに向けず、仮に違うところにカメラを置いてみる。そして、そのカメラから見たときの誰かの頭の中を想像してみる。『今日は自分じゃない誰かになって考えてみよう』ということをやってみようと思っています。」今回は、それぞれの共同体の物語をリフレーム(紡ぎなおし)するにはどうすればいいのかを考えながらワークショップはスタートします。

まずは塚田さんから「皆さんに絵を描いてもらいます。利き手ではない方の手を使って苦手だな、嫌いだなという色を使って、嫌いなものをイメージして嫌いなものを書いて下さい。絵を上手に描く必要はありません。線や色を塗るだけなどの抽象的な絵でもいいです。そしてその絵が何を表しているかが分かるようにキーワードを書いてください。」皆さんは、それぞれ自分の思うままに嫌いな色を使って絵を描いています。線だけの人や『嫌い』という感情をぶつけるようにぐしゃぐしゃに書き殴ったような絵を描く人などさまざま。ムカデや蚊という具体的なものから、首に何かがまとわりついているなどの抽象的な絵もあります。
次に「利き手で自分の好きな色、自分にとって暖かくなったり落ち着くなど、他人が好きかどうかは考えずに描いてください。漫画が好きだとか、美味しいものが好きとか抽象的でもOKです。」描かれた絵は猫や可愛いものなど、こちらも具体的なものから抽象的なものまで描かれていました。

さらにその人が描いた嫌いなもの、好きなものを参考に「その人が見たかったこと」をテーマに、「出来事・場面設定」「そのときの感情」「それを受けて明日への意気込み」。その3つをテーマに自分以外の参加者に日記を書いてもらいます。皆さん絵とにらめっこしながら日記を書いています。そして最後に日記を発表する時間です。「その人が見たかったこと」がテーマだったからか、笑ってしまうような日記やほっこりする日記、詩的な日記までもあり、幅広いレパートリーに会場は笑顔と笑い声で溢れています。発表が終わったあと、参加者の皆さんは「引き出されたそれぞれの話がどれも本人らしい気がする。」「普通の自己紹介よりも、人物像が伝わってくる」などの声が挙がりました。その人の物語を想像することで、よりその人のことを深く知りたい、または理解したいなどの感情が動き出してきたのかもしれません。

最後に小澤さんは「自分の日記を自分で描くのと人が自分を想像して書いた日記はいろんな意味合いがあると思うんですよ。すごく影響を与え合うことでもあるんだと思います。普段生きていても他の人の人生を想像するということはあまりないと思うんです。でもこういった想像力をちょっとずつ耕していけることをいろんな形でやっていけたらいいなと思います。」イベント終了後も参加者の皆さんは、お互いの日記を見せ合い、繋がりを深められていました。

speaker

小澤 いぶきさん
小澤 いぶきさん(児童精神科医)

児童精神科医/東京大学先端科学技術研究センター研究員
NPO法人PIECES代表理事

医学部医学科卒業後、精神科専門医を経て、児童精神科医として複数の病院で勤務。トラウマ臨床、虐待臨床、発達障害臨床を専門として臨床に携わったのち、NPOを立ち上げる。複数の自治体のアドバイザーを務める。2015年より、さいたま市のインクルーシブモデル立ち上げ、開発のアドバイザーを務める。
2016年、 Fish Family Foundationのプログラムの4名に推薦され、ボストンにて研修を受ける。2017年3月世界各国のリーダーが集まるザルツブルグカンファレンス招待され、子供のウェルビーイング達成に向けたザルツブルグステイトメント作成に関わる。

speaker

塚田 有那さん
塚田 有那さん(編集者・キュレーター)

編集者、キュレーター。世界のアートサイエンスを伝えるメディア「Bound Baw」編集長。「領域を横断する」をテーマに、編集・執筆のほか、展覧会、キュレーションなど様々なプロジェクトに幅広く携わる。2010年、サイエンスと異分野をつなぐプロジェクト「SYNAPSE」を若手研究者と共に始動。2012年より、東京エレクトロン「solaé art gallery project」のアートキュレーターを務める。2016年よりサウンドアーティストevalaのプロジェクト「See by your ears」のディレクターとして海外展開を推進。編著に『メディア芸術アーカイブス』『インタラクション・デザイン』など、ほか「WIRED」をはじめ編集・執筆歴多数。
http://boundbaw.com/

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